実習が3~4期の後半に当たってしまった薬学生のみなさん。
「このスケジュールで、就活ちゃんとできるのかな?」
と不安になっていませんか?
もしかすると、他学部の学生がインターンや説明会に参加する状況をみて、
自分だけ取り残されているように感じることもあるかもしれません。
確かに薬学部の場合、実務実習というカリキュラムが必須であり、
一般的な大学生と同じ就活スケジュールで動くこと自体が、そもそも難しい構造になっています。
他学部と同じ就活のやり方をそのまま当てはめようとすると、後期実習に当たった薬学生ほど、
就活が苦しくなりやすいのも事実です。
でも、だからといって実習が後期にあることで就活が不可能になるわけでは決してありません。
この記事では、実際に6年制薬学部を卒業し新卒で企業の就活を行った私が、
薬学部ならではの実習と就活の関係を整理しながら、
後期の実習に当たった場合でも、就活を前向きに進めるための考え方を解説します。
実習と就活の両立は難しい?|スケジュールで考える4期実習の現実
実習が就活時期に当たってしまうと「このままでは、望んでいる進路を目指せないのではないか?」と
不安になりますよね。
まずは、状況を正しく把握することが大切です。
実習と就活のスケジュールを整理しながら、本当に両立が難しいのかを確認していきましょう。
実習と就活のスケジュール|本選考は実習後に始まる

まず、薬学部の実務実習のスケジュールを整理しておきましょう。
ご存じの通り、実務実習は複数の期に分かれて実施され、
2025年度の場合は、実習第Ⅳ期の期間は2025/11/17(月)〜2026/2/8(日)となっています。
引用:実務実習実施日程 | 一般社団法人 薬学教育協議会 – CPE – Council on Pharmaceutical Education
一方、一般企業の就活においてエントリーの開始は原則3月からとなっています。
引用:就活(就職活動)のスケジュールと進め方 – 就活準備 - マイナビ2027
一般企業は、病院や薬局と異なり、薬学部以外の学生も対象としているため、
エントリー時期はほぼ一律このタイミングから始まると考えてよいでしょう。
この2つを並べてみると分かる通り、実習が最も遅い4期に当たった場合でも、
エントリー時期と実習が重なっているわけではありません。
実習と就活の両立が難しい理由|十分な時間があるわけではない現実
これを見て分かる通り、実習第Ⅳ期が終了する2月上旬から、エントリーが始まる3月までは期間があります。
そのため、企業就職そのものに間に合わないと悲観する必要はありません。
では、なぜ実習と就活の両立は難しいと言われるのでしょうか。
理由の一つは、就活イベントに十分な時間を割けるわけではないという現実にあります。
特に、秋から冬にかけて行われるインターンシップや説明会の中には、
参加にあたって選考が設けられるものも少なくありません。
企業としてもインターンシップに興味をもって来てくれた志望度の高い学生とは、
早い段階から関係を持っておきたいのも確か。
4期の実習だと、この時期は実習と完全に重なってしまうため、
希望通りにイベントへ参加することは難しくなります。
就活イベントへの参加という点だけを見れば、不利になる部分があるのも事実でしょう。
ここまでを整理すると、実習と就活の本選考が直接重なっているわけではないものの、
後期実習に当たった薬学生は、「絶望的なわけではないが、ビハインドがある状態で就活を始める」
ことになる状態だとわかります。
この状況を理解せずに、他学部と同じ就活のやり方をそのまま当てはめてしまうと、
後期実習に当たった薬学生ほど、就活を苦しく感じやすくなります。
では、このようなビハインドをどう捉え、企業の就活に向けて、
何を優先して準備すべきなのでしょうか。
次の章では、就活準備の段階で本当に重要なことについて整理していきます。
薬学部の就活戦略|就活の準備段階で重要なこと
では、実際にビハインドを抱えた状態で、企業の就活をどう乗り越えていけばよいのでしょうか。
この章では、「就活の準備段階で何が本当に重要なのか」そして、その捉え方について整理していきます。
就活の本体はイベントではない|ビハインドの捉え方
まずは、先ほど触れた「ビハインド」について、考え方を一度整理しておきましょう。
というのも、インターンシップなどのイベントに参加できないことが、どの程度就活に悪影響を与えるのか。
ここが曖昧なまま、不安だけが先行しているケースが多いからです。
確かに、インターンシップに参加した学生には、いくつかのメリットがあります。
例えば、
といった点は、参加者側の利点だと言えるでしょう。
ただし、インターン参加はあくまで「有利になる可能性がある」という話であって、
選考そのものを代替するものではありません。
参加したからといって、面接なしで採用してもらえるわけではありませんし、
ましてや参加していない学生が門前払いを受ける、ということもありません。
正式にエントリーできる仕組みになっている以上、企業側としても、
インターンに参加していない学生の中からも採用候補を見つけたいというのが本音です。
つまり、インターンに参加できなかったことは、絶対的な不利ではなく、あくまで相対的な差にすぎないのです。
ここを過剰に悲観してしまうと、必要以上に焦り、就活全体を苦しくしてしまいます。
エントリーシートと面接の準備が必須|自己分析と企業研究の拡充
では、就活で最終的に結果を分けるものは何でしょうか。
結局のところ、採用を勝ち取るかどうかを決めるのはエントリーシートと面接の内容です。
どれだけイベントに参加していても、エントリーシートの中身が薄ければ選考は通りません。
面接で自分の考えや経験を言葉にできなければ、評価されることはありません。
そして、このエントリーシートや面接の質を左右するのが、自己分析と企業研究です。
自己分析には、さまざまなフレームワークがありますが、最終的に必要なのは、
「自分は何を考え、どう行動してきたのか」を自分自身で掘り下げることです。
これは、特別な場所や時間が必要な作業ではありません。
通学中や、実習の合間、なんなら、お風呂の中でも考えることができます。
一方で、企業研究はある程度腰を据えて行う必要がありますが、
作業を分解しておけば、スキマ時間でも進めることが可能です。
例えば、
といった形で、少しずつ積み重ねていくことができます。
むしろ、自己分析や企業研究は非常に時間がかかる準備だからこそ、
就活が本格化する前から取り組んでおくべきものです。
ここまで見てきたように、就活の準備段階で本当に重要なのは、イベントへの参加数ではありません。
次の章では、この考え方をさらに一歩進めて、実習という薬学部ならではの経験を、
どのように就活に活かしていくか。その具体的な捉え方について解説していきます。
薬学部の実習が企業就活に与える影響|真剣に取り組むメリットとは
ここからは、実習にしっかり向き合っておくことが、就活にどう影響するのか
そのメリットについて解説していきます。
実習というと、「単位を取るための学校行事」「将来、薬局や病院に行く人向けのもの」と捉えられがちです。
しかし実際には、この実習こそが、薬学部の就活において他学部にはない強みになり得る経験でもあります。
実習は社会経験の一つ|経験している分だけ有利になる
基本的に、新卒の就活は「仕事をしたことがない」ことが前提で進みます。
その意味では、どの学部の学生も同じスタートラインに立っているように見えます。
では、薬学部はどうでしょうか。
実務実習は、形式上は学校行事ではあるものの、
実際に行っていることは現場での業務そのものです。
確かに、一見するとアルバイトと似ている部分もあるかもしれません。
しかし、実習では「プロとしてどう考え、どう判断するか」という視点を持ちながら、
業務に関わることが求められます。
目的意識を持って行動し、その判断や対応を言語化できるかどうか。
これは、まさに企業の就活で問われる力そのもの。
実習に真剣に取り組んでいれば、
など、さまざまな経験が積み重なっていきます。
これらはすべて、エントリーシートや面接で語れる「実体験」になります。
実習の経験を就活にどう活かすかについては、別の記事で詳しく解説しています。
興味のある方は、そちらも参考にしてみてください▼

臨床のバックグラウンドがわかる|薬学部卒の大きなメリット
実習の価値は、就活の場面だけにとどまりません。むしろ、本当の強みが見えてくるのは就職した後です。
製薬企業やCRO、医薬品卸など、医薬品に関わる企業には、
実にさまざまなバックグラウンドを持つ人が働いています。
薬学部出身者だけでなく、他学部や、医療系以外の分野を専攻してきた人も多くいます。
私自身、医薬品開発の現場で治験の運営に関わっていましたが、
チームの中で薬剤師は一人だけ、という状況も珍しくありませんでした。
そうした環境で実感したのは、薬に関する知識や、臨床現場の感覚が分かる人材は、
思っている以上に貴重だということです。
こうした場面で、臨床の背景を理解している人がいるかどうかで、
チームの意思決定のスピードや質は大きく変わります。
企業志望であっても、実習に真剣に取り組んでおくことで、就職後に活きる土台を作ることができる。
これは、薬学部ならではの強みだと言えるでしょう。
薬学部の就活における注意点|目的は仕事をすること
前章では、実習に真剣に取り組むことが、就活だけでなく、
その先の仕事にも良い影響を与えることを説明してきました。
この章では、そうした前提を踏まえたうえで、薬学生が就活を進める際に、
あらかじめ意識しておきたい注意点について触れておきます。
就活はゴールではありません。あくまで「仕事をするための入り口」です。
この視点を持てるかどうかで、判断の軸は大きく変わります。
薬学部はそもそも特殊な学部|世の中の平均に合わせる必要はない
薬学部は、そもそも非常に特殊な学部です。
医療という実践的な立ち位置にありながら、同時に化学者としての側面も持っています。
薬を創り出し、生産し、流通させ、人が使い、病気を治す。
その一連の長い工程を、俯瞰的に学ぶのが薬学部です。
他の学部と対比すると、この特徴は分かりやすくなります。

多くの理系学部では、「生物」「工学」など、特定の分野におけるスペシャリティを軸に、その強みをさまざまな業界で活かす形が一般的です。就活の目線で言えば、横断的に業界を選ぶイメージに近いでしょう。
文系学部ではさらに顕著で、語学やコミュニケーション能力、あるいは社会・経済といったマクロな視点を武器に、
営業や経理、広報など、業界を問わず必要とされる職種をさらに幅広く選ぶことができます。
一方、薬学部で学ぶ内容は、薬やそれに準ずる分野(化粧品・食品など)に強く結びついています。
もちろん、他業界へ進むことも十分に可能です。
ただし「学んだことを活かす」という観点で考えると、多くの場合、その領域に集約されていきます。
その代わり、業界の中で、研究・開発・品質・営業・臨床など、さまざまなポジションを選べる。
これが薬学部の就活の特徴です。
ベースがそもそも異なる以上、他学部のやり方や「世の中の平均」に合わせて、
就活を進めようとする発想自体が、無理を生みやすいのです。
就活のために実習を軽視するという落とし穴|鍵となるのは信頼と行動
就活イベントが実習期間中に重なり、「どうしても参加したい」という場面に直面することもあるかもしれません。
ただし、就活のために実習を軽視するという選択は、慎重に考える必要があります。
実習を「社会経験」と捉えるなら、実習を理由なく休むことは、
仕事を私的な都合で放棄することと本質的に同じです。
どんな仕事も、最終的には信頼の上に成り立っています。
その信頼を損なうような行動は、長期的に見れば自分の首を絞めることになりかねません。
もしどうしても参加したい企業イベントがあるのであれば、
大学と実習先の双方の責任者にきちんと説明して相談することが必須。
怒られたり、場合によってはその後の学校と実習先の関係性に、
ヒビを入れる結果になったりすることもあるかもしれません。
しかし、そのリスクを飲み込んだ上で、相談までするのが社会人として最低限のマナーです。
また、そもそも実習を休んでまでイベント参加を求める企業の姿勢についても、
一度立ち止まって考えてみる必要があります。
特に人事の担当者側が、実習よりもイベント参加を求めるような場合は要注意です。「仕事と私事の線引き」の価値観が、入社後の働き方や環境に影響するので、慎重に見極めるべき相手かもしれません。
もし、そうまでして行きたい企業があるのであれば、
既存の就活スケジュールに無理に合わせる必要もありません。
実習期間以外の行動しやすい時期に企業の問い合わせフォームから見学の申し込みをすれば、
企業側も前向きに検討してくれるケースは少なからずあります。
こうした行動のほうが、よほど社会人として責任があり好印象に映ります。
実習と就活を繋ぐ考え方|実習と就活は社会との接点
ここまで、実習と就活の関係について、社会人目線で整理してきました。
最後となるこの章では、もう一段俯瞰した視点から、
実習と就活をどう捉えるとよいのかという “考え方そのもの”を整理しておきます。
薬学部5年生の社会的立場|社会から見た期待値とは
まず、薬学部5年生が社会的にどのような立場にあるのかを客観的に確認してみましょう。
高校までの同級生は、浪人や留年を挟んでいなければ、修士1年目、あるいは社会人1年目の学年です。
修士課程や6年制薬学部は、通常の4年制大学を卒業して社会に出るよりも、長い時間を大学で過ごします。
それは言い換えれば、社会経験の代わりに得ている学びがあるということです。
では、その学びとは何でしょうか。
学士課程の4年間が、主に「知識の習得」に重きを置いているとすれば、修士課程では、
その知識を使って試行錯誤しながら物事を「考える力」を鍛えていきます。
博士課程では、その先にある新しいものを「創造する力」が求められますが、
修士課程は、その前段階として「考えること自体を訓練する位置づけ」だと捉えることもできます。
同様に、6年制の薬学部では、5年生で実習や研究を行い、6年生で国家試験に向けた学びを深めます。
研究期間が他の理系学部より短い分、実習や国家試験の勉強を通じて、
より臨床に近い形で「考える力」を身につけていると理解することができます。
企業の立場から見れば、その「考える力」を仕事に活かしてもらえることこそが、
薬学部出身者に対する期待です。
実務実習の価値は、単に臨床現場を経験したことそのものではなく、
その体験を通じて培った考え方を、仕事にどう活かせるかという点にあります。
就活では伝え方が重要|実習経験はバックグラウンドの一つ
就活という文脈で言い換えると、実習で臨床を見てきた経験は、自分のバックグラウンドの一部になります。
ここで大切なのは、そのバックグラウンドをどう扱うかです。
「自分は臨床を知っている」
「2年多く学んできたから、他学部より優秀だ」
こうした過度なアピールは、会話の端々に表れやすく、必ずしも良い印象につながるとは限りません。
一方で、必要以上に自信を失ってしまうのも考えものです。
せっかく積み重ねてきた学びや経験が、就活の場で何も活かされないのはやはり勿体ない。
重要なのは、謙虚になるということではなく、客観的に自分の得意・不得意を理解したうえで、
実習での学びや気づきを仕事にどうつなげるかを考えることです。
そうした意識を持って整理された経験は、自然と自分のバックグラウンドとして伝わるようになります。
就活では、自分を大きく見せることよりも、相手に伝わる形で、考え方や姿勢を示しましょう。
まとめ|実習と就活は一つのプロセスとして捉える
以上、実習と就活の両立について解説してきました。整理するとこの記事の内容は以下の通りです。
・実習4期でも就活が不可能になるわけではないが、ビハインドがある状態でのスタートになる。
・就活の成否を分けるのはエントリーシートや面接に直結する自己分析と企業研究の質である。
・実務実習は社会経験であり、真剣に取り組むほど就活や仕事に活きる思考が身につく。
・就活のために実習を軽視する行動は信頼を損なうリスクが高く、責任ある説明と判断が不可欠。
・薬学部5年生は「考える力を育ててきた人材」として社会から見られる。
どの期間に実習に当たっていたとしても、この記事の考え方は活かすことが出来ます。
実習と就活を、切り離された別物として捉える必要はありません。
どちらも、社会とどう関わっていくかを考えるためのプロセスです。
実習で何を考え、就活でどう行動するか。その一つひとつが、社会に出た後の自分につながっていきます。
薬学部ならではの立ち位置を理解したうえで、実習と就活を前向きに捉えていきましょう。
以下の記事では就活の具体的な対策として、薬学部の経験をエントリーシートにどのように落とし込むか?を解説しています。是非就活が本格化する前に確認してみましょう▼


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