薬剤師には将来性がない?薬剤師過剰な将来に生き残るチカラとは

こんにちは、薬剤師の花炎(はなほむら)です。

薬剤師というと、周りの方々からは”安定した仕事だ”と言っていただけることが多いです。

また、世間の反応を見ていても「資格があれば就職も楽にできる」「高い給料を貰える」という風に思われていることが多いと感じています。

一方で、薬剤師は将来性がないと言われることが多い仕事です。AIに取って代わられる職業だともよく言われますし、ネット上では、なくなる職業ランキングの上位に挙げられていることもしばしばあります。

薬剤師を目指す学生の皆さんや、進路の一つとして考えている中高生の中には、実際はどうなのか気になる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、薬剤師の将来性について解説していきます。現役薬剤師の視点から薬剤師の仕事の実情を踏まえて解説するので気になる方は是非最後まで読んでいってくださいね。

薬剤師が将来性がないと言われる理由

薬剤師が将来性がない、と言われている理由は大きく分けて以下の2つです。

・薬剤師が多く飽和している

・AIやロボットで代替できる

どちらもよく聞きますよね?実際のところはどうなのでしょうか。

結論から言って、これはある程度正しい考えです。

薬剤師の数は今もなおどんどん増えていますし、高齢化が進行した日本では今後は人口が減っていきます。

また現在、薬剤師の業務として重要なウェイトを占めている薬学管理という業務。

医師の処方に間違いがないか、飲み合わせに問題がないかなどをチェックする業務です。

これもAIで将来的に代替できるだろうな、と薬剤師の私自身が感じています。

問いに対して適切な回答を瞬時に導き出す力は、人間はAIには絶対に敵いません。

確かに現状のAIの精度はまだ完璧ではないかもしれません。だけど、機能を考えれば近い将来、現在の薬剤師程度の働きは問題なくできるようになるでしょうね。

つまり、”今のまま行けば”将来、薬剤師が余る時代がくることはほぼ確実であると言えるのです。

薬剤師の年収は?|給料はいいの?

では給料の方はどうでしょうか。将来性といえばお金が稼げるのかどうかも重要ですね。

私の個人的な実感では、「そこそこの生活ができて貯金もできるが、高給取りというほどではない」くらいの印象です。

ただし、これはあくまでも30代前半男性、薬局薬剤師歴5年、奨学金返済なしの一事例です。
地域や生活状況などによっても感じ方は大きく異なることでしょう。

実際のデータを見てみましょう。

薬剤師の平均年収は令和5年度の調査によると577万円となっているそうです。

これは厚生労働省の賃金構造基本統計調査という調査がもとになっています。

引用:薬剤師 – 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))

一方、労働者全体の平均年収はおよそ460万円です。

これは同じく令和5年度の、国税庁の調査によるデータです。

引用:令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁

このように比べてみると、全体でみると薬剤師の給料は高めに設定されていることが多いということが分かりますね。ただし、年齢も性別も業種、雇用形態(社長も正社員もパート・アルバイトも含む)も全部含めた値なので、実感とは乖離がありそうです。

なお、薬剤師の仕事の値段は健康保険によって定められているので、業界全体として、今後薬剤師の給料が大きく上がることはなかなかなさそうです。

薬剤師としての差別化|将来性がある薬剤師とは?

ここまで説明してきた内容をまとめると、確かに今のままでは薬剤師の将来は暗そうです。

ただ、それだけで「薬剤師の将来性はない」と断言するのは、早計だと思います。

確かに、人口が減り、AIが取り入れられ更なる業務効率化が実現すれば、薬剤師は余ることになるでしょう。しかし、人が介在しなければならない点も一定数あるため、需要が完全になくなるわけではありません。

では、今後はどのような薬剤師が求められるようになるのでしょうか。ポイントは差別化です。

AIができないこと|問題に出会ったときの決断力

万能のように思えるAIですが、できないことが一つあります。

それは決断です。

複数の選択肢が考えられるとき、その選択肢をまとめて提示することはできます。
しかし、どの選択を取るのか、その決断までは今のところできません。

どんな仕事でもそうですが、薬剤師も仕事の中で決断を迫られる場面はたくさんあります。
そうした時に、迅速かつ的確に状況を判断し決断・実行することができる人材は貴重です。

科学と人の両方に向き合う|臨床薬剤師力

医学や薬学は科学です。そして科学的な知見を人の治療に応用するのが臨床です。薬剤師は科学者として薬のことを理解しながら、臨床で人と向き合っていく必要がある仕事です。

これはどちらが欠けてもいけません。在宅医療やチーム医療への参画に当たって、今や患者さんだけでなく医師をはじめとした他の医療従事者ともコミュニケーションが必須です。

重要なことは、課題を見つけ出してその解決方法を考え決断を下すこと。そのためには薬学的な知見を基に、多方面とコミュニケーションをしっかり取る必要があるのです。

武器を持って差別化を図る|手に入れるべき高度な専門性

これまで、医師がプロフェッショナルとして専門を深める一方で、薬剤師はジェネラリストとして総合的な薬の知識を習得する動きをしてきました。

確かに医師をサポートする観点からはジェネラリストであることが理想なのですが、
反面、薬局・薬剤師間の差別化は非常に難しいものがあります。

そのため今後、選ばれる薬剤師になるには、自分だけのスキルを手に入れてより高度な課題解決ができるようになることが個々の薬剤師に求められるのではないか、と私は考えています。

未来は自分で作れる~薬剤師を目指すあなたへ~

以上のように、薬剤師はもはや、「楽をして稼げる、将来も安泰な職業」ではありません。

しかし、反対に世間で言われているほど「将来が不安な職業」なわけでもありません。

それはここまで書いてきた通りです。

もちろん、相応に努力も求められます。
仕事を始めれば、厳しい現実が待ち受けていることは否定しません。

でもだからこそ、全力で向き合う価値のある仕事でもあると思います。

大事なことは、2つです。

時代の変化に上手く対応していくこと
そして
自分の未来は自分の手で選び決断していくこと

それができれば、きっと将来にも希望が見えるのではないかと思います。
皆さんが薬剤師になって、将来を引っ張る存在になることを願っています。

今後は、「薬剤師ってどんな仕事をしているの?」「薬学部って実際どんなことをするの?」
など進路に役立つ情報や、薬剤師の業界に関する情報を発信していく予定です。
薬剤師に少しでも興味がある人は、是非チェックしてみてくださいね!

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『Formulø』—それは次世代の薬剤師たちに向けた キャリアの処方箋

由来となったのは、薬学において処方のエッセンスを意味する『Formula』という言葉。 コロナ禍で急速に進んだオンライン化、AIをはじめ、日々進歩するテクノロジーの数々。社会全体が目まぐるしく変化する中で、薬剤師もまた、これまでと同じではいられない。 そんな時代だ。未来の薬剤師を目指す学生や若手薬剤師たちが、見えない将来に不安を感じるのも無理はない。 ーこれから薬剤師を目指すのは間違い?薬学部を目指すのはやめた方がいい? ー薬学部に入ったけど、この先どう進めばいい? ー薬剤師になったけど、将来に希望はあるのか? そんな不安な時代だからこそ、今こそ”処方箋”が必要だ。 『Formulø』は、そんなあなたの疑問に答えるメディア。 現場で働く薬剤師のリアルな声と、これからの薬剤師像を、一緒に見つけていかないか?

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