「薬局や薬剤師ってどんな役割があるんだろう?」
「医者がいれば必要ない仕事なのかな?」
薬剤師を目指す皆さんは、そんな疑問を抱いたことはありませんか?
それどころか、「薬剤師は将来性のない仕事だ」という意見を聞いて、
不安になっている方もいるかもしれませんね。
では、薬剤師は本当に必要なくなるのでしょうか?
もしかしたら、こうした意見は「薬剤師の役割」を知らないことから、
きているのかも知れません。
この記事では、知られざる薬剤師の本当の役割を薬剤師の視点から解説します。
これが分かれば、もう薬剤師不要論に悩む必要はなくなります。
この記事はこんな方にオススメです。
・薬剤師を目指しているが、将来性がないならならない方が良い?と不安な方
・薬剤師の仕事がどのように人の役に立っているのかを知りたい方
・薬剤師になったけど、患者から説明はいらないといわれて落ち込んでいる方
自分のことだ!と思った方は是非最後まで読んで、知識を安心に変えましょう。
薬剤師はAIの発達で”なくなる”職業?|世間からの見え方を確認
まずは薬剤師に対する世間の意見を見てみましょう。
耳の痛い話ではありますが、客観的な認識と現実を確認しておくことが重要です。
AIと薬剤師不要論|薬剤師はAIに代替される仕事?
オックスフォード大学の調査などにより、
現在の職業のうち実に50%近くが機械により代替されるという結果が公表されています。
この調査結果の中にある「機械化によりなくなる職業ランキング」に薬剤師も入っており、
もともとあった薬剤師不要論の影響も手伝って一時期話題になりました。
では、実際、現在のAIが薬剤師の仕事にどのくらい影響を与えるのか?
まだ現実を知らないあなたは、知っておかないと今後ついていけなくなるかも知れません。
以下の記事では、さらに詳しくAIと薬剤師不要論について解説しているので読んでみてください▼

薬剤師はいらない?|一部の不要論者たちの認識
ただ実際のところ、AIが市場に出る前から薬剤師不要論は一定数ありました。
「薬剤師が症状を聞いてくるのがうざい。医者にもう説明したのに。」
「薬剤師なんて薬を集めるだけで、誰でもできる仕事でしょ。」
といった具合です。
現場の実感でいうと、ここ10年ほどでも大きく世間の認識が変わってきて、
医療の現場で必要とされる場面が増えてきているように感じます。
一方で、未だに否定的な意見も少なくないのも事実。
AIが一般市民の手にも届くようになってきて、よりリアルに「代替される」可能性が示唆されているのです。
では本当に薬剤師は不要な職業で、なくても困らない職業なのでしょうか。
次章ではそんな薬剤師の役割がどこにあるのか確認していきましょう。
薬剤師の仕事の役割|その本質は「きれいな日本」の番人
そんな不要論が囁かれる薬剤師ですが、実のところ活躍の場はたくさんあります。
ここでは、薬剤師資格が活きる場面を解説しながら、薬剤師の役割を確認してみましょう。
薬剤師の活躍の場|薬剤師資格がないとできない仕事もある
薬局や病院といった臨床の現場のイメージが強い薬剤師ですが、活躍の場は医療の場にとどまりません。
たとえば企業。製薬企業なら必須の製造管理や統括製造販売責任者として薬剤師を置かなければなりません。
薬剤師資格者がいないと製薬企業は成り立たないということ。
製薬企業の下請けとなる製造企業、化学メーカーも同様です。
医薬品卸売業者にも管理薬剤師が常駐しています。麻薬を扱う業者ならなおさら。
また、行政職でも活きる場面も。
麻薬取締官は、薬剤師資格があれば国家公務員試験を受けなくてもなることができますし、
検疫所や保健所の「食品衛生監視員」や「検疫委員」「薬事監視員」など様々な業種で薬剤師資格が活かせます。
このように、薬剤師は広く活躍できる場が用意されていることが分かります。
薬剤師の仕事の本質|法律と活躍の場から読み取る役割の本質
薬剤師法には、薬剤師は以下の通り規定されています。
これはどういう意味かというと、薬剤師の仕事の本質、その目的は「公衆衛生の向上・増進」と、
これによる「国民の健康生活の確保」の2つなんです。
簡単にいうと、日本をきれいな国にして、国民みんなが健康でいられるようにすること。
薬剤師の仕事というと、どうしても薬を用意すること(調剤、医薬品の供給)に目がいきがちなのですが、
それはあくまでも目的を達成するための手段というわけです。
先にも示した通り、薬剤師の仕事の場は医療の現場に留まりません。
目的を理解した上でこれらの仕事を見返してみると、
いずれもこの目的を達成するための仕事なのが分かります。
では、次章からはさらに詳細に薬剤師の役割に踏み込んでいきます。
医療における薬剤師の仕事|伴走コンサル的な視点で関わる医療人
前章までは大きなくくりで薬剤師の役割を確認しました。
ここからは、「薬剤師の仕事」と「薬局の役割」に分けて詳細を確認しましょう。
この章ではこのうち、薬剤師の仕事に焦点を当てて解説します。
治療上の問題を防ぐ|課題をみつけて解決まで導く
一つ目の役割は、もっともイメージされやすい、治療上の問題を防ぐ機能です。
最近では、併用禁止薬のチェックや疑義照会などは一般的にも、
薬剤師の仕事として理解されつつあります。
しかし、薬剤師の仕事はそれだけではありません。
組み合わせとしては問題ない薬でも、複数重なることで影響が出ることもありますし、
患者の特性や生活背景などによって使用の可否が変わることも勿論あります。
こうした内容は、一般的な情報を見るだけでは分かりません。
様々な背景因子を総合的に考慮したうえで、個別に判断をしないといけないのです。
また事前に想定される問題を見つけておくことは勿論、使っていく中で問題が生じた場合にも、
それぞれの対応を行うことも薬剤師の仕事。
課題の抽出から解決まで、それが薬剤師の役割の一つです。
治療の精度を上げるひと押し|患者と医師の治療のサポート
二つ目の役割は、治療の精度をあげる機能です。
一つ目がマイナスを0に持ち上げる機能だとすれば、二つ目は0をプラスに押し上げる機能です。
これには医師と患者、双方に対する調整的な関わりが重要になっています。
患者に対しては薬剤師から服薬指導を行います。医師からも内服の方法など説明がされていますが、
実はそれだけでは効果がうまく出ないこともよくあります。
これは一つ目の課題解決と密接に関わっています。
薬は状況に応じて適切な使い方をしないと効果も変わってしまうため、
患者の状況を把握して個別具体的に使い方を考案し伝えていくことが大切なのです。
医師に対する情報の収集や整理、もしくは提案などによるサポートもその一つ。
ただでさえ忙しい医師達は、どうしても一人の患者に割ける時間が限られています。
そのため、薬局から薬の情報や患者から聴取した情報を整理して提供すること、
また必要に応じて提案を行うことで医師の診療の質向上を目指すのです。
勿論、歴戦の医師たちにとって知識や経験で敵わない部分もあるのは確かです。
しかしあらゆる状況で判断を行わなければならない医師にとって、一つでも情報が増える、
あるいは自分の手の届かない部分まで対応がスムーズに済むことは、負担軽減に繋がり、
結果として治療の精度を上げることに繋がるのです。
言い換えると、薬剤師は医師の方針決定を支えつつ、
最後の微妙な軌道修正を図る役割を担っているということです。
問題を未然に防ぐ!|問題がない状態を維持する管理の仕事
三つ目の役割は管理の役割です。
マイナス→0、0→プラス、に引き続き、0の状態、あるいはプラスの状態を維持していく役割
と言っても良いでしょう。
問題があった時の対応の方が業務として目につきやすいため、どうしても、
何もない場合は、外からは仕事をしていないように感じてしまいがちです。
しかし、考えてみれば、そもそも「何も問題がない状態」を維持することが実生活では一番大事。
そしてそのためにあるのが管理の仕事です。
使用を継続することで将来的に問題が生じる可能性があることも含めて、対応を決めておくことも管理の仕事ですし、薬局側で問題が想起されても患者に影響がないように留めるのもそうです。
患者から「変わったことは何もない、調子いいです。」と言ってもらえることが、
実は一番管理の仕事が機能している状態だということです。
薬局のもう一つの役割|日本を衛生的に維持する流通の管理者
では次に薬局に焦点を当てて役割を確認しましょう。
今でこそ医療の中に組み込まれてきた薬局ですが、元々の役割はもっと根源的な部分にあります。
この章では、そんな薬局の一番の基礎となっている役割について解説します。
薬局の役割は流通管理|医薬品を適切に流通させること
薬局は簡単に言えば「医薬品の小売店」です。
それはいわば、「メーカー→卸売業→小売業→消費者」という流通の中で、
消費者に届く前の最後の部門にあるということ。
こうした流通問題の中で、薬局側も患者になるべく影響が及ばないようにするため、
メーカーの変更や医薬品変更提案など医師との協議の末、なんとか治療を継続してきたのです。
患者さんにとっては薬が変わって、不快な思いをした方や不安になった方もたくさんいたと思います。
それでも、この一連の問題によって体調に重篤な問題が生じた事例は、
少なくとも調べた限りでは出ていませんし、現場でも起きていません。
これはそれぞれの薬局の並々ならない努力によって支えられた結果に他なりません。
こうした適切な流通の管理が薬局の重要な機能なのです。
流通管理は衛生の維持|日本を「きれいな国」として維持するための機能
また、それだけではありません。こうした流通の管理が、
実は日本の衛生水準の高さにまで影響しているのをご存じでしょうか。
例えばベトナムという国はアジアでも最も抗生剤に対する耐性菌問題が深刻な国の一つ
とされています。その理由の一つとして考えられるのが適正使用の課題です。
ベトナムでは、処方が無くても抗生剤を薬局で購入することが出来ます。
それくらい薬局や薬剤師が浸透しているのか?というとそうではありません。
実は、ベトナムには日本のような薬剤師国家試験制度がなく、かつては大学で薬学を修めた後、
一定の実務経験を満たすことで、 医薬品の販売や管理に関わることができる仕組みでした。
つまり、日本のように試験によって専門性を一律に担保する構造ではなく、
知識や判断の質にばらつきが生まれやすい環境だったとも言えます。
現在では、2025年から資格付与にあたって試験が制度として導入され、
一定の基準で専門性を確認する仕組みが整備されつつありますが、こうした背景が、
不適切な使用や濫用に関わってきたことはいうまでもありません。
医薬品は適正に使用しなければ、このような様々な問題を引き起こします。
かつて大流行により多くの命を奪ってきた感染症は、抗生剤の発明によりコントロールができるようになりました。
しかし、耐性菌が広がると、感染症の治療ができない時代に逆行してしまうことになります。
世界でもトップクラスの衛生水準を誇る日本は、検疫で海外からの感染症輸入の防止や、
上下水道のインフラ整備だけでなく、国内の医療・流通を管理しているからこそ、保たれているのです。
薬局は将来的にもなくならない|インフラ機能として生き続ける
以上、薬局と薬剤師の役割を解説してきました。
ここまで読んでくれたあなたには、薬局や薬剤師の必要性が十分に伝わったはず。
ただし、注意すべき点も全くないわけではありません。
最後に少し、薬剤師の将来性について解説をしておきます。
薬剤師は将来なくなる?|必要性と数は別問題
ここまで解説してきた通り、薬局は日本において絶対的に必要な存在です。
国内の衛生を保つためのインフラとして重要な役割を担っており、今後も確実に残ります。
薬局が残る以上、薬剤師も必要。そのため将来的になくなることはない職業であるといえます。
しかし、一方で、今ほど需要がなくなるというのもまた事実です。
日本は過剰な少子高齢社会となっており、今後人口は減っていくことが指摘されています。
そのため、医療従事者の数として必要量は減っていくこともほぼ決まっています。
AI利用により既存業務が効率化されるだけでなく、
社会の変化に応じて求められる業務の形は変わっていくかもしれません。
管理は本来、数少ない上流の工程の業務ですから、薬剤師自体は必要だけれども、
安泰な職業ではないというのも事実として理解しておかなければなりません。
では安泰ではなくなる将来というのは具体的にいつやってくるのか。
知っておかなければ対策できず、遅れをとってしまうかも。
そうならないために以下の記事では現在の見込みについて確認しましょう。▼

薬剤師の資格は強い|経験とスキルで先の未来を生き抜く
しかしまた一方で、薬剤師には様々な活躍の場があることもお話しした通りです。
今後は、薬剤師の知識を使いながら、さらに別の業務スキルを組み合わせることで、
活躍の場を広げていくことが個人としても業界としても必要になっていくでしょう。
個々人ができることは、薬学を一般人と差別化できるようにしっかり修めること、
その上で、別のスキルも習得し薬剤師の中でも差別化を図ること。
次世代の薬剤師のみなさんにとって、
そうしたスキルや経験を手に入れるために時間を投資していくことが重要です。
薬剤師のスキルアップについては以下の記事で解説しています▼

まとめ|薬局や薬剤師の存在には明確な役割がある
以上、ここまで薬局と薬剤師の役割を解説してきました。
この記事の内容はまとめると以下の通りです。
・薬剤師不要論は存在するが、役割理解の不足による側面が大きい
・薬剤師の本質は公衆衛生の維持と国民の健康の確保
・医療現場では課題解決・治療精度向上・状態維持の役割を担う
・薬局は医薬品流通を管理する社会インフラとして機能する
・制度と適正使用の違いが衛生水準に影響する
薬剤師の役割は、簡単に見えるものではないものの、確かに存在しています。
あなたがもし今、不安になっているのであれば、自信をもって取り組みましょう。
それが、あなたにとって最も重要なことになるはずです。
もっと業務目線で薬剤師の仕事の裏側を知りたい方は以下の記事をご覧ください。
一般の方にもわかるように薬剤師が裏でどんな流れで業務を行っているのかを解説しています▼

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