【薬局実習】学生のピッキングは迷惑?|遅い・ミスへの薬剤師の本音

薬局実習で誰もが最初に経験するであろうピッキング。

最初は慣れるためにピッキングから始めてみよう、という薬局も多い中、
集めるのが遅かったり、誤った調剤を繰り返したりしてしまい、

「自分がピッキングすることで迷惑になっていないかな」
「自分には薬剤師の才能がないんじゃないか」

と落ち込んでいませんか。

特に最初の方で躓いてしまうと、長い実習に向き合うのが不安になってしまうもの。
次からは失敗しないように、と気負うほどまた失敗を起こしてしまうことも多いものです。

この記事では、現場の薬剤師として実習生に向き合ってきた視点から、
実際に実習生のピッキングに対して薬剤師がどう感じているのか、
そして、失敗を繰り返す場合にどうしていけばよいのかを解説していきます。

目次

実習生のピッキングは迷惑か?|現場薬剤師が感じること

この記事を読んでいるあなたは、実習中にピッキングが遅かったり、ミスを犯したりして、
不安になっているのではないでしょうか。

まずはそんなあなたに向けて、薬剤師が実習生のピッキングに対してどう思っているのか、
その本音から説明します。

薬剤師の本音|実習生のピッキングは迷惑か

結論から言って、実習生のピッキングが遅かったり失敗が多いことに関して、
迷惑などとは全く思いません。まずは安心しましょう。

中には実習生をいち人員として扱うような、勘違いをしている薬剤師もいますが、
本来、実習生がいなくても薬局は回るように人員を配置しています。

そもそも実習生を受け入れる余裕があるわけで、そうなっていない薬局は本来、
実習を受け入れる資格がありません。

実習生が失敗することなども込みで受け入れているので、前向きにどんどんやって欲しいと思っています。

むしろ、自分からやろうとしない実習生の方が、やる気がないのかな?と感じてしまうので、
不安な場合は、まずは「やっていいですか?」と声をかけるところから始めましょう。

ピッキングが遅い・ミスが多いことに対する薬剤師の気持ち

ピッキングをやってみた実感として、
「薬剤師さんがやったほうが早いし正確だし、迷惑をかけているのではないか」
と感じてしまうことも理解はできます。

ただ言っておきたいのは、ピッキングは100%「慣れ」でしかないということ。

店舗によって採用薬も配置も全然違いますし、我々薬剤師でさえ、店舗を異動したら
、また一から覚え直すことになります。慣れるまでやはり時間もかかります。

また、失敗に関しても気に病む必要は全くありません。
ピッキングは誰がやっても100%ミスなくすることはできません。

実際の現場でも「必ず」起きます。

だからこそ、失敗する前提で、鑑査という仕組みを用意しているのです。

逐一指摘されてしまうと気に病むなというのも難しいかもしれませんが…
その会社や薬局の文化なのかもしれませんし、
指導者側としては一応ちゃんとしておかないといけない部分もあるので指摘する、
という側面もあります。

いずれにしてもそんなに気にするほどのことではないのです。

そうはいっても、時間がかかったり、ミスが頻繫に起きたりすると、
やはり自信をなくしてしまうもの。

そこで次の章では、ピッキングに対する向き合い方と、苦手だと感じたときの対処法について解説します。

薬局実習でピッキングが苦手だと思ったら?|苦手意識への対処法

ピッキングに苦手意識を持ってしまい、自信を喪失してしまうと、
そこから先の実習はもっと辛くなってしまいます。

そこでこの章では、苦手意識を持ってしまった時の対処法について詳しく解説します。

ピッキングは慣れるしかない|慣れるための方法論を考える

先にも書いた通り、ピッキングは究極的には、慣れるしかありません。

それに実習の最初は難しく感じたとしても、実習が半分も経過する頃には、
場所も覚えて、自分でも何を悩んでいたかわからないくらいになるものです。

とはいえ、できないうちは先が見えなくて苦しいもの。

その場合は、慣れるための方法論を具体化しましょう。

ここでの問題の本質は、上手くできないことではなく、上手くできないと感じて自信を失っていることにあります。

そのため、自分でもできそうだ、と感じられる方法を考えることが重要です。

段階的にできるようになるための方法論|覚えるのではなく法則を理解する

ピッキングに時間がかかる要因は、どこに何があるかがわからないことにあります。
そのため、慣れて覚えてしまえば自然とスピードが速くなるのです。

では全てを一気に覚えるべきかというとそうではありません。
ここでは以下の2つのステップに分けて説明しましょう。

STEP1:手の空いた時に棚の配置を観察する
STEP2:自分の自信のある薬/棚に特化して対応させてもらう


STEP1

薬局の棚の配置は割とどこでも同じように決まっています。

というのも、劇薬や毒薬、向精神薬のように区分されているものは棚を分ける必要がありますし、
点眼や吸入、うがい薬など同じような剤形のものはひとまとめに置くのが分かりやすいもの。

印がついていてわかりやすくしている薬局も多いので、これはさほど時間を要しないと思います。

場所を混同しやすいのは、ほぼ棚に配置された薬と引き出しにしまわれた薬。

一般的にその薬局で頻繁に処方が出る薬は棚に、頻度が少ない薬は引き出しにしまわれます。
処方頻度がわかるようになるまでは棚にあるのか引き出しにあるのかが分かりにくいのですね。

また、棚の薬は、ほぼ五十音順に並んでいます。

それが「右からなのか左からなのか」あるいは「横に並ぶのか、縦に並ぶのか」が、
薬局によって異なるところ。ここが事前に確認しておくポイントです。

さらに、複数規格がある薬や、名前の似た薬は敢えて離して配置することもあります。
五十音順に見ていって、違うところがあればそれも確認しておきましょう。

これだけでもかなり棚の見え方が変わります。棚にある薬はよく出る薬なので、
処方箋を見たら、まずはその棚のその場所を探すようにすれば見つかりやすいです。


STEP2

こうして棚を観察しておいた上で、まずは限定的にピッキングを行っていきましょう。
全部の棚から全部を対応しようとしても覚えきれないもの。

何回か触った薬は、名前だけでなく外箱のビジュアルなども記憶に残るので、
処方箋を見ただけでイメージが湧くようになります。

調剤のミスとして多いものの一つに、ジェネリックと先発品の間違いがあります。
処方内容の入力段階で事務さんが何らかのルールを決めている薬局も多いので、
そのルールも含めて理解しましょう。

特に先発品の名称はそれまで大学で習ってはいないはずなので知らなくて当然。
そのため、配置を観察する際には、その薬の先発品と後発品が両方とも置いてあるかどうかも
確認しておくと良いでしょう。


このように段階的に進めていくことで、
気持ち的にも無理なくピッキングを習得することが出来るようになるはずです。

ピッキングと調剤への向き合い方|実習における学ぶ姿勢

ここまで、実習中のピッキングにおける不安への向き合い方と対処法について解説してきました。

ピッキングに不安を感じているあなたは、実はとても真面目で誠実に向き合っているとも言えます。
むしろ、それは大きな強みです。

ここからは不安を強みに変えていくために重要な、姿勢についてお伝えします。

薬局実習は仕事ではない|大事なことは学ぶ立場として誠実であること

ピッキングでミスを繰り返すと「問題を起こした」と感じるかもしれません。

しかしそもそも、ひとつ重要な視点があります。
それは実習生はスタッフではなく、実習は学ぶ場であるということ。

受け入れる薬局の立場からすれば、そもそも実習生に責任を負わせられるはずもないですし、
ミスがあったからと言って問題になるような体制にはしていません。

仮にミスを通してしまったとしても、それは実習生ではなく薬剤師側の落ち度です。

ただ、学ぶ立場として誠実であることは常に忘れないようにしましょう。

「やる気がなさそう」「真面目に向き合っていない」と感じられる学生に対して、
薬剤師側も時間や労力を使って、教育の機会を与えようとは思わなくなってしまいます。

失敗は学びのチャンス|たくさんの経験を蓄積して内省しよう

失敗は確かに精神的にこたえるものではありますが、逆に失敗がなければ人は学ぶことはできません。

だからこそ冒頭でもお伝えした通り、どんどんやってみて欲しいのです。
教育的な観点から言えば、むしろ実習中にたくさん失敗すべき。

失敗のパターンをここでたくさん体験しておくと、それが後々の肥しになります。

ただ一方で、何も考えずただ失敗を繰り返すだけでは自分にとっての成長になりません。

ミスは意識していても起きるものですが、何が原因で起きたのか、どうすれば次は防げそうか、
どういう状況で自分は失敗しやすいか、などを内省していくことが大切です。

それどころか実はこういった失敗は、話のタネにもなります。
以前関わった実習生は成果発表に失敗の話を選んでいました。

以下の記事では、失敗に対する向き合い方とその学生の事例を詳しく解説しています。
実習中の失敗に悩んでいる方はこの記事で安心感を手に入れましょう▼

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ピッキングへの姿勢について理解したところで、
では「やる気がない」と思われないようにするためにはどうしたら良いのでしょうか。

自分では真面目に向き合っているつもりでも、薬剤師側から真剣みがないと受け取られ、
厳しく当たられてしまうケースは少なくありません。

次章では、そんな悪印象を避けるための実習への関わり方を解説します。

薬局実習での放置を生む!?|やる気がないと思われないための関わり方

薬局実習で、指導者から「やる気がない」と判断されてしまうと、実習中に放置されたり、
孤立する原因になってしまうこともあります。

真剣に向き合っていてもなお、そうした状況になってしまうと、
実習自体がしんどいものになってしまうこともあります。

そこでこの章では、向き合っている姿勢を変にアピールせずとも、
無理なく伝わるようにするにはどうすればよいのかを解説します。

薬剤師側からの見え方|他人には行動しか見えない

まずは薬剤師側からの見え方を理解しておきましょう。

実習以外でも全く同じですが、他人からは行動しか見えません。
そのため多くの場合、人は行動を見て相手の考え方を推し量ろうとします。

では薬剤師側はどういった行動から実習生のやる気を見ようとするかというと、
「積極性」と「改善姿勢」の2つがポイントになります。

当たり前かもしれませんが、これがないと本当にやる気がないと受け取られてしまいますし、
実際にはあっても、それが見えなければ他人からはそう感じられてしまうものです。

だからこそ、それが伝わるように行動で示していくことが大事なのです。

見え方から考える|真面目に向き合っていることが無理なく伝わる行動

「積極性」と「改善姿勢」の2つの観点から見られていることがわかれば、
逆にいえば、それが見える行動をとっていれば、やる気がないと取られることはまずありません。

積極性といえば「ピッキングやっていいですか?」と聞くのもそうですし、
手が空いている時に、言われる前に動くのもその一つです。

改善姿勢とは、遅かったりミスをして迷惑をかけてしまったと感じた時に、
次に同じ失敗をしないようにどうすべきかを改善する姿勢ですが、
薬剤師からの指摘を受け入れることも含まれます。

自分で考えるのも大事なことですが、自分の中でもやもやと考えているだけでは、
他人からは何も考えていないように見えてしまうのも事実です。

わからないことや、苦手で何度も失敗することなどは、
むしろ相談する方がかえって積極性や改善姿勢が見えるので、
遠慮なく「困っている」ことを伝えましょう。

実習でピッキングから学べること|やることが無くても学びを見つけるためには

最後にピッキングから学べることを整理しておきましょう。
ピッキング一つとっても、学べることは多くあります。

実習中に、忙しくて放置されたり、教えてもらえることが少ない場合でも、
自分で学びを見つけられるようにしておきましょう。

薬の知識と紐づけ|実習中に薬のビジュアルイメージをつけておく

ピッキングは薬の勉強をする上でとても効果的です。

棚の配置は、劇薬や毒薬、向精神薬などの法的な規制区分によって分けられているので、
どの区分の薬がどのように保管されているのか、どの薬がどの区分に該当するのかなど、
薬品棚を見れば一目で把握できます。

成分と製剤の結びつきもイメージしやすくなります。

例えば、β刺激薬といえばどれも似たような名前なので、机上の勉強では、ただの単語として
暗記するほかありません。しかし、ホルモテロールやビランテロールは吸入剤、
ツロブテロールはテープ剤というように現場で薬を実際に見ていると、
イメージとして浮かびやすいはずです。

膨大な薬を覚えなければならない薬学生にとって、暗記は苦痛ですが、
ビジュアルイメージがあるとかなり思い出しやすくなります。

実習を終えた後は、なかなか生の薬を手に取る機会はないはず。
だからこそ、実習中は、何度も触ってイメージを頭に作っておくことが大事です。

棚の配置の工夫|薬局が陰で行う努力の裏側を理解する

先にも書いた通り、棚の配置は薬局によって多少異なるものの、一定の規則性があります。
これも実習中によく観察して理解しておくとよいポイントです。

棚の配置は、ミスを起こしにくくしたり、効率的にピッキングができるようにするために、
各薬局で考え抜いて決められてきたものです。

そして、スタッフの変化や採用薬の変更など様々な状況の変化に合わせて逐一改善していくものでもあります。

取り間違いが起きやすかったり、複数の規格がある薬などは、
文字を大きく書いたりマークを付けたりして目立つように注意喚起されることが多いです。

同じ成分の違う規格の薬は取り違えを起こしやすいので敢えて離して配置することもあります。

私が管理薬剤師をしていた時は、より効率的にピッキングができるように、
よく出る薬コーナーを設けたりしていました。
門前のクリニックから出る薬はほぼ決まっているので、毎日数百錠単位で処方される薬は、
一つの場所にまとめた方が、その場で複数人分集めたりすることもできるので便利なのです。

このように、棚の配置の理由を考えてみると、自分が業務に当たる時にもその思考を活かすことができるでしょう。

優先順位を付ける習慣づけ|効率的に作業を進める工夫を学ぶ

棚の配置を理解し記憶していると、一つの処方箋の薬を集める時にも、
棚の配置を思い浮かべて、どのように集めると効率的かを考えながらピッキングができるようになります。

ものの数秒の違いではあるのですが、毎日100枚も処方箋が来る薬局では、
ピッキングだけで数百秒変わってくることになります。

つまり効率的に行えば、それだけ薬歴を1件書いたり、
予製を作ったりといった別の作業に当たる時間を捻出することができるということ。

忙しい薬局では、こうした小さな積み重ねが非常に重要になるのです。

だからこそ、常に優先順位をつけて対応をする習慣をつけることが重要であり、
実習中のピッキングを通してそうした習慣づけをしておくのも学びに繋がります。

まとめ|薬剤師は実習生のピッキングを学びの側面として捉えている

以上、実習生のピッキングに対して薬剤師の視点から感じていることを解説しました。

この記事の内容を以下に整理しておきます。

・実習生のピッキングが遅かったりミスが多くても、薬剤師側は迷惑とは感じていない
・ピッキングは慣れによる部分が大きく、ミスも前提として仕組みでカバーされている
・大切なのはスキルよりも、学ぶ立場として誠実に向き合う姿勢である
・やる気は内面ではなく行動で判断されるため、積極性と改善姿勢を見える形で示すことが重要
・ピッキングを通して、薬の知識・現場の工夫・効率的な考え方など多くの学びを得ることができる

ピッキングは、薬局業務の「いろは」です。

たとえ薬剤師にならなかったとしても、実習でピッキングにあたった経験は、
薬学部卒業のバックグラウンドを形作る要素の一つとなります。

ピッキングといえども手を抜かず、まじめに、そして楽しんで取り組んでもらえると嬉しいです。

ピッキングを通して実務と知識の両方を学べているかどうかで、
今後の国試勉強の効率も大きく変わってきます。実習を通してしっかり学んでおきましょう。

実習中の学び方の詳しい解説は以下の記事で▼

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